名古屋地方裁判所 昭和44年(行ウ)11号 判決 1975年12月15日
豊橋市佐藤町北島一一七番地の二
原告
小野田絹三
右訴訟代理人弁護士
大矢和徳
同
原山恵子
同
原山剛三
同
佐藤典子
右大矢和徳訴訟復代理人弁護士
井上祥子
同
宮道佳男
同市吉田町一六
被告
豊橋税務署長
浜田務
右指定代理人
榎本恒男
同
山本忠範
同
市川朋生
同
川島正之
主文
一、原告の請求をいずれも棄却する。
二、訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一、当事者の求めた裁判
一、原告
1. 被告が昭和四二年六月二八日付でなした原告の昭和四〇年分所得税を二三、四〇〇円とする更正処分のうち九、四〇〇円を超える部分、および過少申告加算税を七〇〇円とする賦課処分はいずれもこれを取消す。
2. 被告が昭和四二年六月二八日付でなした原告の昭和四一年分所得税を四二、四〇〇円とする更正処分、および過少申告加算税を二、一〇〇円とする賦課処分は、いずれもこれを取消す。
3. 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決。
二、被告
主文同旨の判決。
第二、当事者の主張
一、請求の原因
1. 原告は豊橋市内で木工業を営む者であるが、昭和四〇年分所得税について昭和四一年三月一四日被告に対し別表(一)「昭和四〇年分確定申告額」欄記載のとおり確定申告をなし、次いで同年七月七日同別表「修正申告額」欄記載のとおり修正申告をなし、また昭和四一年分所得税について昭和四二年三月一四日同別表「昭和四一年分確定申告額」欄記載のとおり確定申告をなしたところ、被告は右各申告に対して同別表「更正および賦課決定額」欄記載のとおり更正処分および過少申告加算税賦課処分(以下本件処分という)をなし、昭和四二年六月二八日付原告に通知した。原告は昭和四二年七月二二日被告に対して本件処分につき異議申立をしたところ同年一〇月一一日付で棄却する旨決定の通知をうけ、同年一一月一〇日、名古屋国税局長に対し審査請求したところ昭和四三年一二月一七日付で棄却する旨の裁決の通知を受けた。
2. しかしながら被告のなした本件処分は以下の理由により違法である。
(一) 申告納税制度のもとでは納税者の申告(自主申告)により課税標準額が定まるのが原則であり、更正処分をなし得るのはその例外である。国税通則法一六条・二四条は納税者のなした申告を否認して更正処分をなしうる権力発動の要件を定めたものであるから、更正処分をなした被告において、何故納税者の自主申告に疑義をもつたのか、またいかなる調査をなしいかなる資料にもとづいて更正額を計算しえたのかを明らかにしなければならない。そして納税者の申告を否認してその課税標準等について調査をなしうるためにはその必要性、換言すれば右申告を否認しうる蓋然性がなければならず、またその調査自体も適正な方法正確な事実に基づいたものでなければならないから、合理的理由がないのに調査を開始したり或いは当該処分をなすにあたつての調査方法や調査の基礎資料に誤まりがあれば、当該課税処分は違法となり取消を免れ得ない。
しかるに被告は右自主申告制度の趣旨に反し、調査着手の理由およびその方法内容、かつ本件更正処分の理由を明らかにしないで本件処分をなしたのであるから、右処分はこの点において違法である。
また被告は、豊橋税務署職員が昭和四二年六月、原告の昭和四一年分確定申告につき調査のため原告宅を訪れた際原告の依頼により原告の所属する愛知県民主商工会東三支部(以下「民商東三支部」という)の事務局員ら数名が立ち合つたのを捉えて調査を妨害したものと曲解しその報復のため本件処分を行なつたものであるから、右処分は手続上の公正原則に反する。
さらにまた民商東三支部は「中小商工業者を取り巻く厳しい情勢の下で税金・金融・経営・社会保障等、営業および生活全般にわたる中小商工業者の問題をその団結の力で一歩ずつ解決しその営業と生活を守り繁栄と向上をはかるために学習および行動することによつてひいては明るい豊かな平和と独立の日本の建設に尽すこと」を目的として結成された団体であるところから、被告は原告がその会員であることを知悉し民商の組織破壊工作の一環として、団結権を侵害するため本件処分をなしたのであるから更正・決定権の濫用として違法である。
(二)(1) 申告納税制度の下では納税者の申告により課税標準額が確定するのが原則であり更正処分をなしうるのはその例外であるが、更正処分をなす場合においても調査による更正(実額課税)が原則であり、推計による更正(推計課税)はその例外である。従つて推計課税が許されるのは納税者の自主申告を疑うにたりる合理的な理由があり税務署長が調査するも所得の実績を計算することができない場合に限るのである。従つて推計課税をなす場合には、税務署長において実額課税ができない具体的事由ならびに原処分時の調査の具体的方法および内容を明らかにするべきであり、これらを明らかにしないで推計に基づいてなした当該課税処分は違法となり取消を免れない。
(2) ところで昭和四〇年分に関する本件処分の経緯は次のとおりである。
即ち、昭和四一年七月七日に豊橋税務署職員が昭和四〇年分の確定申告に関する調査のため原告方を訪れ原告およびその妻小野田時子に対し申告が少ないので帳簿を見せるように要求したため、原告が昭和四〇年分「収支日計式簡易帳簿」(以下「簡易帳簿」という)を提示したところ、右職員は右帳簿を調査し、原告に対し半ば強制的に四五万円の修正申告をするように勧告したので、原告は止むなく右勧告どおりの修正申告書をその場で作成して右職員に提出し、さらに右修正申告に従い納税を完了した。その後昭和四二年ころ、原告の妻時子は昭和四〇年分の納税は全部完了したものと判断して右帳簿を焼却したのである。しかるに被告はその後調査を再開し、右帳簿が信用できない等特別の事由もないのに単に右帳簿が焼却され現在調査ができないとの理由だけで推計課税をしたのである。従つて、昭和四〇年分に関する本件処分は、実額課税が可能である場合に推計課税に基づきなされたものとして違法であり、また禁反言の法理ないし信義誠実の原則に反してなされたもので違法である。
(3) 仮りに昭和四〇年分所得に関し推計課税が許されるとしても被告のなした推計方法は昭和四一年分売上額と電力消費料から売上額を推計するという杜撰な方法であり、前記のように豊橋税務署職員が原告方で昭和四〇年前記帳簿を調査して修正申告させた方法に比較して著しく不合理である。
3. よつて本件処分はいずれも違法であるからその取消を求める。
二、請求の原因に対する答弁
1. 請求原因1.は認める。
2. 同2のうち豊橋税務署職員が原告方に赴き生活費・設備費・従業員等について尋ね、その結果から原告の申告額が過少と思われるので修正申告をしたらどうかと言つたことはあるが、その余は争う。
3. 課税処分は客観的・抽象的には既に成立している租税債務を確認しそれを具体的に確定させるための一つの手続にすぎないものである。しかも青色申告書によらないで確定申告をなした者に対する課税処分については、現行租税法は当該処分を行なうに際して一定の手続をとるべき旨の手続的規定を設けていないから、かかる課税処分が税法に違反しているかどうかは、結局のところ、課税庁が認定・計算した課税標準等または税額等が客観的抽象的には既に成立しているところの実際の課税標準額等または税額等を超えているかどうかによつて決定されるのである。従つて、課税処分の取消の訴においては実際の課税標準等または税額等が審査の対象となるのであつて、これについての課税庁の認定を理由あらしめる主張は単なる攻撃防禦の方法にすぎない。
また、課税標準の認定は本来実額により計算してなすべきであるがそのためには、納税者の協力が必要であり、納税義務者が信頼できる帳簿その他の書類を備えていない場合または課税庁の調査に対し資料提供を拒否する等非協力的な場合においては、課税標準を構成する個々の経済取引に関して第三者たる地位にある課税庁が課税標準を実額で把握することは殆ど不可能である。しかしそれだからといつて課税権を放棄することは課税庁の責務上も租税負担公平の原則を維持するためにも許されない。推計課税に関する所得税法一五六条の規定はかかる見地から間接的事実により所得金額を認定して課税することができることを明らかにしたものである。それ故に、右規定の存在をもつて原告主張のように原処分時の調査の具体的方法および内容を明らかにしなければ本件処分の適法性を理由づけることができないというものではない。
三、被告の主張
1. 本件処分の経緯について
請求原因1.記載の各申告について被告は昭和四二年六月ころから係員をして実地調査を行なわせたところ、原告は係争各年分の営業取引に関する伝票帳簿その他の書類を提示せずかつ事業の収支を明らかにするため説明を求めても応答しない等調査に全く非協力的であつたので、右実額の調査は不可能であつた。
そこで被告はやむを得ず、原告の取引先等について可能な限り調査して得た資料等から推計して係争各年分の金額を算定し、国税通則法二四条および六五条一項の規定により本件処分をなしたものである。
2. 本件処分の適法性について
(一) 被告は前記の如き経緯で本件処分をなしたが、原告はその後審査請求段階で、担当係官に対して昭和四〇年分の帳簿は焼却した旨申立てるとともに、昭和四一年分営業に関する日々の取引を記録した「収支日計帳」なる帳簿を提出した。そこで被告はより正確な所得金額を明らかにする必要から、昭和四一年分について右帳簿に記載された収支額につき取引先等を調査したところ売上その他の金額に計上洩れ等のある事実が明らかとなつたので右記載洩れ金額を加算し、一部については合理的に推定して原告の所得金額を算定したが、昭和四〇年分については、本件処分当時と殊更変つた事情もなかつたので所謂実額による計算ができなかつたことからやむを得ず推計により原告の所得金額を算定した。
(二) 昭和四一年分営業所得金額について
その明細は別表(二)記載のとおりである。
(1) 売上金額
売上金額は次の(イ)、(ロ)、(ハ)を合算したものである。
(イ) 原告が審査請求段階において主張した金額、即ち昭和四一年分「簡易帳簿」に記載してある金額(別表(二)一 <2>および別表(五)(イ)記載のとおり)
(ロ) 売上洩れ判明額(別表(四)一および別表(五)(ロ)記載のとおり)右「簡易帳簿」のほかはその記帳のもととなる原始記録等の保存もないので、被告が右帳簿の記帳内容検討のため売上先の判明する大口取引先について実地調査等をなして確認した右帳簿の記帳洩れの売上額である。
なお徳田家具店との取引について、原告主張の如く同店が原告と偽名の取引をした事実はないしその必然性も実益もない。
(ハ) 売上洩れ推定額(別表(四)二および別表(五)(ハ)記載のとおり)
原告と取引があると認められる豊橋信用金庫東支店および東海銀行豊橋支店について調査し、原告名義の普通預金および当座預金ならびに原告の妻小野田時子名義の普通預金の各出入金額を検討した結果、売上先からの売上代金の振込取立金や売上代金の振込取立金と認められる入金があるのに原告の帳簿には記載のないものがあり、また右各預金を仕入代金等の支払等にあてていることから、現金入金の中にも売上代金の入金と認められるものがあるなどの事実が明らかとなつたので、右各預金の入金額のうち売上にかかる入金と目されるもので前記(イ)(ロ)の売上額に含まれていないものと推定したものである。その内訳は次のとおりである。
(a) 小野田文男振出名義の小切手による入金について
同人が昭和四一年三月二〇日に家具購入代金として徳田家具店へ支払つたものであり、これを原告が同店に対する売上代金の一部として受取り原告名義の預金に入金したと認められたので、原告の同店に対する売上額について検討した結果、右金額は前記(イ)の売上額に含まれていないと認められる。
(b) 高橋建設株式会社および山本静助振出名義の各小切手による入金について
これらは同人らが原告に対し直接振出し支払つたものではないようであつたが、仮に原告と同人らの間に直接の取引関係はなくても前記(a)のような事実や、これらの小切手による入金が売上代金の入金以外のものであるとは認められないことから、右小切手を同人らより受け取つた者などから更に原告が売上代金として受取り右預金に入金したものと認められ、また右小切手の振出日が昭和四一年三月三〇日および同月二四日であることが判明したので右入金額と原告の昭和四一年分の売上金額のすべてについてその入金状況を別表(五)により検討した結果、年月日・金額等について一致すると認められる入金の事実はないことから右金額を重複して売上げに計上しているとは認められない。
(c) 前野幸子およびヒロオカタケシ振出名義の各小切手による入金について
いずれも前記(b)と同様と考えられ、重複して売上げに計上した事実は認められない。
(d) 小野田時子名義普通預金入金分について
(ⅰ)昭和四一年九月三〇日付入金額三六、五〇〇円は石原木工所石原宏からの売上代金として受取つた同人振出の小切手(金額三万円)および伸和椅子株式会社からの売上代金として受け取つた同社振出の小切手(金額六、五〇〇円)の二通の取立による入金であり、また同年一〇月一一日付入金額一〇、五〇〇円は現金六、〇〇〇円と株式会社荒川工務店からの売上代金として受取つた同社振出の小切手(金額四、五〇〇円)取立によるものである等右普通預金には売上代金の入金分が預け入れられていること、更に同年二月一四日付出金額六八、〇〇〇円は一旦別段預金に振替えられて原告の仕入先である曾田木工株式会社に対し仕入代金の支払のために振り出した支払小切手の決済にあてられていることなどの事実から右普通預金は原告の事業にかかる金銭の出入のために使用されているものと認められること。(ⅱ)右預金の額・入金状況などからみて売上代金の入金以外の入金とは認め難いこと、(ⅲ)右預金の入金状況と別表(五)とを比較しても一致する事実はないので重複して売上げに計上したものはないと認められること、などから右預金の入金額のうち被告主張額をもつて加算すべき額と認めるのが相当である。
(2) 必要経費
別表(二)二<1>記載のとおりであり、そのうち売上原価の明細は別表(二)付表<1>記載のとおりであり、更にそのうちの東和木材株式会社からの仕入額明細は別表(六)記載のとおりである。
(3) 差引営業所金額は右(1)「売上金額」より(2)「必要経費」を控除したものであり、結局原告の昭和四一年分の事業所得金額は別表(二)三<1>記載のとおり一、一八二、〇六六円となるから、右金額の範囲でなされた昭和四一年分にかかる本件処分は適法である。
(三) 昭和四〇年分営業所得金額について
その明細は別表(三)記載のとおりである。
(1) 売上金額(同別表(一)記載のとおり)
前記のとおり昭和四〇年分については実額による調査ができなかつたので。被告はやむなく電力の使用量が原告の係争各年分の事業規模を示すものであるところから、昭和四一年分の売上金額三、六三二、五三三円(A)に、昭和四〇年分の電力使用量七七六キロワツト(B)の昭和四一年分の電力使用量七六四キロワツト(C)に対する割合一〇一・五七パーセントを乗じた三、六八九、五六三円(D)をもつて原告の昭和四〇年分の売上金額と推定した。
<省略>
(2) 算出所得率(同別表(二)記載のとおり)
次の算式による原告の昭和四一年分の算出所得率五六・九六パーセントを昭和四〇年分についての算出所得率と推定した。
(算出所得金額) (売上金額) (算出所得率)
2,069,424円÷3,632,533円=56.96%
(但し、算出所得金額とは売上金額(別表(二)一<1>)から売上原価(同別表二a<1>)および一般経費(同別表二bないしcの各<1>)を控除した後の金額をいう。)
(3) 算出所得金額
右(1)売上金額に(2)算出所得率を乗じた二、一〇一、五七五円である。
(4) 特別経費(別表(三)四記載のとおり)
雇人費・建物減価償却費・地代家賃についてはいずれも原告の昭和四一年分各金額をもつて昭和四〇年分の金額と推定した。
借入金利子については原告が国民金融公庫および豊橋信用金庫東支店から借入れた借入金についての利子相当額を計上した右合計額は七四四、〇三〇円となる。
(5) 差引営業所得金額(同別表(五)記載のとおり)
右(3)の算出所得金額から(4)の特別経費を控除した金額一、三五七、五四五円であり、右金額の範囲内でなされた昭和四〇年分の本件処分は適法である。
四、被告の主張に対する答弁
1. (被告の主張1について)
昭和四一年分の申告について被告が係員をして昭和四二年六月ころから実地調査を行なわせたこと、被告が推計により係争各年分の所得金額を算定し本件処分をなしたことは認めるが、その余は否認する。
2. (同2(一)について)
昭和四〇年分の営業に関する帳簿を焼却したこと、昭和四一年分の「簡易帳簿」記載の売上金額にある程度の計上洩れがあつたことは認めるが、その余は否認する。
3. (同2(二)(1)(イ)について)
原告の「簡易帳簿」に被告主張どおりの記載があることは認める。
4. (同 (二)(1)(ロ)について)
原始記録の保存がなかつたこと、原告の「簡易帳簿」に次のとおり一部記載洩れがあつたことは認め、その余の事実は否認する。
即ち別表(四)一については同<1>・<2>・<4>・<5>・<6>のとおり記載もれがあつたこと、同<3>(徳田家具店)については七九、八〇〇円のみ記載もれがあつたこと、および、別表(五)(ロ)については入金先等に徳田家具店ないし同店まわし小切手分(以下「徳田家具店等」という)とあるものを除きその余の売上洩れがあつたことを認める。
なお、右「徳田家具店等」とあるものは同店が原告と偽名による取引をした(原告「簡易帳等」にはその偽名で記帳)ものであり、右偽名による取引分と売上げ洩れとの関係は別表(七)記載のとおりである。
5. (同2(二)(1)(ハ)について)
(一) 被告主張の各預金口座が存在し、右預金口座に被告主張の別表(四)二ないし(五)(ハ)記載のとおりの入金があつたことは認めるが、その余は否認する。
別表(五)(ロ)記載の売上げ洩れの金額と同別表(ハ)の売上げ推定額とは、実際には後記(三)のとおり売上げ洩れ分が小野田時子名義の入金になつているから、別表(八)および後記(二)ヒロオカタケシ分三六、〇〇〇円について重複計上されている。
このことは例えば別表(五)の一〇月一一日付の四、五〇〇円(荒川工務店売上洩れ)が同日付の六、〇〇〇円(白井木工所売上洩れ)と合計されて一〇、五〇〇円として入金されていることからも明らかである。
(二) 被告主張(a)(b)の各小切手による入金および(c)のうち前野幸子振出名義分の小切手による入金のあつたことは認めるが、右各入金額の全額を売上げ洩れとすることは争う(その詳細は別表(七)(1)記載のとおり)。
例えばヒロオカタケシ振出名義の小切手による入金は、別表(五)(イ)欄中「一一月三〇日、三六、〇〇〇円、山田様」として原告記帳済であり売上げ洩れではない。右は原告がヒロオカタケシ振出名義の有価証券を徳田家具店からの支払分として受取り、同店の偽名である「山田様」を使用して記帳し、さらに右小切手を豊橋信用金庫東支店に取立にまわしその旨預け入れと記帳し、右別表(ハ)欄において一二月八日入金になつているものである。なお右金額は別表(五)(ロ)欄中の一一月三〇日付徳田家具店に対する売上洩れとして重複計上(別表(七)(6)の記載参照)されている。
(三) 小野田時子名義の普通預金分のすべてを原告の売上額と推定することは争う。
右預金は原告が売上げ洩れ分の収入を預け入れたものが含まれているし、また同女はかつて和裁を内職として収入をあげていた時期がありその収入が預金入金になつている可能性がある。
6. (同2(二)(2)について)
別表(二)二のうち売上原価を除き認める。
7. (同2(三)について)
原告の係争各年分の電力使用量は不知。
なお。昭和四〇年分の営業所得金額に関して、被告が推計により算定したことは、前記(請求原因2(二)記載)のとおり違法である。
第三証拠関係
一、原告
証人鈴木康史、同長坂豊正、同杉浦信近の各証言および原告本人尋問の結果を援用し、乙第七号証第八号証の一および第一一号証の各原本の存在と成立を認め第一三号証の一、二、第一四号証の成立を認め、その余の乙号各証の成立は不知、と述べた。
二、被告
乙第一号証の一、二、第二、第三号証、第四号証の一ないし三、第五号証、第六号証の一、二、第七号証、第八号証の一、二、第九号証、第一〇号証の一、二、第一一号証、第一二号証の一、二、第一三号証の一、二、第一四号証を提出し、証人杉浦信近、同安井一夫、同坪川勉、同八木千秋、同大榎春雄の各証言を援用した。
理由
一、原告が豊橋市内で木工業を営んでいること、原告主張の経緯で本件処分がなされたことは、当事者間に争いがない。
二、そこで本件処分の適法性について以下判断することとする。
先ず原告は、本件処分は被告において(一)調査着手の理由がないのに調査し、かつ調査の方法・内容および本件処分の理由を明らかにしないでなされたもので自主申告制度の趣旨に反し、また(二)調査に際し民商事務局員らが立会つたことに対する報復ないし団結権侵害のためなされたもので更正・決定権の濫用にあたるから違法である旨主張する。
しかしながら、所得税法はいわゆる申告納税方式をとり納税者が納付すべき税額はその者の申告により確定することを原則とするが、最終的な税額の確定は税務署長に留保され その更正のないことを条件として当該申告が承認されるにすぎない。
税務署長は納税者がその義務を正しく履行したか否かを調査する職責を有し、申告税額が自己の調査したところと異なる場合に右申告税額に拘束されることなくこれを更正しうるのである。そして税務署長が如何なる場合に如何なる調査をなすべきかは法律に特に定めるところがなく、また国税通則法二四条等の規定および他の法律によるも右調査については何らその手続が定められていないから、調査の範囲・程度および手続等については全て税務署長の決するところに委ねられている。従つて被告が調査の理由およびその方法・内容を明らかにしないことが本件処分を違法ならしめるものとは考えられない。また、本件原告のような青色申告書によらないいわゆる白色申告書による確定申告をなした者の所得について更正する場合には、現行法規上所得税法一五五条二項のような規定が存しないのであるから、被告において更正の理由を開示する義務も負わないものというべきであつて、更正による所得金額ないし税額等を不当とする場合には、右不当を理由として更正処分の取消を求めればたりるものである。従つてその理由の不開示が本件処分の違法事由となることはない。
もつとも、更正処分をなすにあたり税務署長において全く調査を実施せずに更正した場合とか、その調査方法や更正の動機目的が明らかに不当と考えられるような場合には、当該更正分は これをなしうべき前提を欠くこととなり違法と解すべき余地がある。
ところで、証人杉浦信近、同鈴木康史、同長坂豊正の各証言、原告本人尋問の結果を総合すれば、原告の係争各年分の所得について被告が実地調査の必要があるとして昭和四二年五、六月ごろ三回にわたり豊橋税務署職員鈴木(現石川姓)義男、同杉浦信近を原告宅に赴かせたこと、右職員らは原告に対し右各年分の営業取引に関する伝票・帳簿その他の書類の提示を求め、仕入先・売上先・従業員数等につき質問をなしたが、原告より帳簿類の提示や具体的な説明・回答がえられず、そのため実額による調査が不可能であつたこと、ことに前記職員らが調査のため原告方を訪れたが、第一、第二回目は原告から何ら協力を得られず、第三回目は民商東三支部(現豊橋民主商工会)の事務局員ら五、六名が立会い、同人らとの間でその調査目的以外のことに質疑が集中したため、原告に対し直接係争年分についての所得計算に関する調査が全くできなかったこと、右民商東三支部が原告主張のような団体であり被告は本件処分当時原告が右支部の会員であることを知つていたことが認められ、証人鈴木康史、同長坂豊正の各証言および原告本人尋問の結果のうち右認定に反する部分はたやすく信用できず、他に右認定を覆えすにたりる証拠はない。
右認定事実によれば、前記税務署職員らの調査にあたり、原告の非協力な態度、民商東三支部事務局員ら立会等のため、事実上調査の実施が不能となり、また、被告は原告が同支部の会員であることを知悉していたことになるが、右事実だけで本件処分が調査妨害に対する報復ないし右支部の組織破壊のためになされたとは到底いえない。証人長坂豊正は前記税務署職員らが民主商工会を誹謗する発言をなした、税務署自体が民商会員と他の納税者とを殊更区別して取扱つているなどと供述するが、右は単なる臆測や伝聞の域を出ず俄かに措信し難く、他に原告の主張する報復、団結権侵害、更正権の濫用等の事実の存在を窺わせるにたりる証拠もない。従つてこの点に関する原告の主張は理由がない。また右認定事実からすれば、被告が原告の昭和四〇年分の仕入・売上・営業所得金額などの実額を把握して計算することができない状況であつたものと認められるから、同年分の所得税につき所得税法一五六条に従い右金額を推計によつて算出したことは許されるべきである。
三、原告は、昭和四〇年分に関する本件処分について、(一)推計課税によるべき要件が欠けている、(二)被告は一度原告に対し半ば強制的に修正申告をさせておきながら後になつて更正することは禁反言ないし信義則に反すると主張する。
証人八木千秋の証言によれば、豊橋税務署職員八木千秋は昭和四一年七月ころ昭和四〇年分の所得税調査のため原告方を訪れ、原告と面談し同年分の営業に関する帳簿・伝票等の提示を求めたところ原告はそれらの提示をせず、提示にかかる昭和四一年分簡易帳簿による仕入金額からみて右職員は原告の確定申告が少ない旨告げ、指導、勧告した結果、原告は本件修正申告をなしたことが認められ、原告本人尋問の結果のうち右認定に反する部分は右証言に照して信用できず、他にこれを左右するにたりる証拠もない。してみると、右職員による勧告は、同人の臨戸調査時における事実上の単なる一応の意見であつて何等拘束力はなく、右勧告に応じ修正申告がなされたとしても、税務署長たる被告は、その後なされた正当な調査結果に基づき右修正申告を更正しうるものであるから、右勧告の趣旨と異なる更正または決定がなされたとの一事を以て禁反言または信義則の法理に反するものということはできない。蓋し、仮りに右法理を適用し、本件処分を取消せば、原告は不当に課税を免れることとなる反面、本件処分により原告の期待に反するとはいえ、格別税法上不利益をうけるものとも考えられないからである。
従つて原告の右主張も理由がない。
四、さて被告主張にかかる別表(一)について、右別表のうち二「所得控除額」・三「税額控除額」は原・被告間の各主張額が一致し争いがないので、結局係争各年分につき右別表の一「総所得金額」即ち営業所得金額が争点となるから、以下右各年分営業所得金額について判断する。
五、昭和四一年分の営業所得金額について
(売上金額)
1. 売上金額については被告主張額(別表(二)<1>)のうち、原告が審査請求時において主張した金額二、五六一、八八三円(別表(五)(イ)および同(二)<2>)は当事者間に争いがないので被告の主張する売上洩れ判明額(別表(四)一および同(五)(ロ))および売上洩れ推定額(別表(四)二および同(五)(ハ))について検討する。
2. 売上洩れ判明額について
右のうち徳田家具店の分(別表(四)一<3>)を除いて当事者間に争いはなく、成立に争いのない乙第一一号証、証人坪川勉の証言により真正に成立したと認める乙第三号証ならびに同証人の証言によれば昭和四一年中において原告と同店との間には被告主張の別表(五)(イ)の「入金先等」の欄中に「徳田家具店」と記載してある取引の外に同別表(ロ)の「入金先等」の欄中の「徳田家具店」および「徳田家具店回し小切手分」と記載してある取引が存在したことが認められ、他に右認定を妨げる証拠はない。なお原告は同店との取引は別表(七)記載のとおり原告の「簡易帳簿」にはその偽名で記帳されているからその分(右別表中(1)の徳田家具店回し小切手分のうち小野田文男、前野幸子、高橋建設株式会社、山本静助分を除いたもの)だけ重複して計上されている旨主張しているが、右事実を証するにたりる適切な証拠はなく、却つて前記乙第三号証、証人坪川勉の証言によれば、同店が昭和四一年度偽名を使用して原告と取引をしたことは一度もないことが認められるので、原告の右主張は理由がない。従つて売上洩れは 被告主張とおり六三七、六六二円と認めることができる。
3. 売上洩れ推定額について
豊橋信用金庫東支店における原告名義の普通預金および当座預金、東海銀行豊橋支店における原告の妻小野田時子名義の普通預金等各口座が存在し、別表(四)二および同(五)(ハ)記載のとおりそれぞれ入金がなされたことは当事者間に争いがなく、そして原告名義分の右各預金のうち、(イ)小野田文男名義の小切手による入金八、〇〇〇円分については、前顕乙第三号証、証人坪川勉の証言により真正に成立したと認める乙第四号証の一ないし三、同証人の証言によれば、右小切手が昭和四一年三月二〇日右小野田により家具購入代金として前記徳田家具店に振出交付され、同店から前記2記載の原告・同店間の取引とは別に原告宛へ売上代金として支払入金されたものであることが認められ、他に右認定を左右する証拠はないのでこれを売上洩れとすることは正当である。また(ロ)前野幸子、高橋建設株式会社、山本静助、ヒロオカタケシ各名義の小切手による入金分合計六六、〇〇〇円については、これらの小切手が同様徳田家具店より原告宛へ売上代金として支払入金されたものであることについては格別当事者間に争いがなく、一方先に認定したとおり同店は原告と偽名による取引をしたことはないのであるから右入金額の一部が原告の「簡易帳簿」に記載されその分だけ重複して計上されているとの原告主張(ヒロオカタケシ分を除いたものにつき別表(七)参照)は理由がなく、従つてこれらの入金分を売上洩れと推定するのは相当である。
さらに(八)前顕乙第一一号証、証人安井一夫の証言により真正に成立したと認める乙第五号証、乙第一〇号証の一、二、同証人、証人坪川勉の各証言によれば、時子名義普通預金のうち入金分について、例えば昭和四〇年六月九日付一万円がタナカ電気よりの、同年七月一四日付一一、〇三五円が白井木工所よりの、昭和四一年八月六日付五、九〇〇円が片柳椅子よりの、同年九月三〇日付三六、五〇〇円が石原木工所(うち三万円)と伸和椅子(うち六、五〇〇円)よりの、いずれも原告の取引先からの小切手による入金である等、また出金分についても例えば昭和四一年二月一四日付六八、〇〇〇円が原告取引先の曾田木工株式会社に対する手形決済のために出金されている等の事実が認められ、その事実から右預金口座は原告の営業上の金銭出入のために使用されているものと認められること、右入金分については預金の額・入金状況からみて右営業による売上代金の入金以外のものとは認め難いこと(原告は右預金の一部には妻時子の和裁内職による入金も含まれている旨主張するが、この事実を認めるにたりる証拠はない)などの事実を勘案すると、右預金のうち昭和四一年分はすべて原告の同年分の営業による所得の入金といえる。ところで、原告は被告が売上洩れ推定額分として主張するうち、(a)別表(八)記載の分、および(b)同(五)(ロ)欄の「一一月三〇日付一〇万円」のうち別表(五)(ハ)欄の「一二月八日付三六、〇〇〇円(ヒロオカタケシ)」と重複する三六、〇〇〇円については、いずれも前記2「売上洩れ判明額」分に計上したものを重複して計上している旨主張しているが、別表(八)(4)「重複額一五、九〇〇円」のうち「四一年八月六日付五、九〇〇円」については、前記認定のとおり片柳椅子よりの小切手による入金であつて原告が右別表で主張するような徳田家具店よりの入金でないことは明らかであるから原告のこの点に関する主張は理由がなく失当であるが、先に認定したとおり、時子名義の預金はすべて原告の昭和四一年分の営業による収入が計上されていること、右(a)(b)のうち別表(八)(4)を除いた分(合計一三二、九五〇円)は、いずれも被告において別表(五)により「売上洩れ推定額」として計上している時期が、「売上洩れ判明額」として計上している時期と比べて全く同一の日か或いは少し後れて近接した日に計上されていること、金額の点においても前者が後者と同一額であるか或いは後者の金額の範囲内であること等から、被告主張の如く重複計上していないものと断定し難く、重複計上している可能性がないこともない。従つて右の分についてはこれを売上洩れ分として推定することは相当でない。そして時子名義の預金中、昭和四一年中の入金総額が四一七、九八八円であることは当事者間に争いがないのであるから、右総額より被告が重複計上と自認する五九、〇〇〇円(別表(四)二参照)および右認定による重複計上分とみられる一三二、九五〇円を控除した金額二二六、〇三八円が時子名義の預金入金のうち売上洩れとして推定することができる。
以上によれば、右イロハの合計額三〇〇、〇三八円が売上洩れ推定額となり、結局昭和四一年分の売上金額は右1の原告主張額に2「売上洩れ判明額分」および3「売上洩れ推定額分」を加算した三、四九九、五八三円となる。
(必要経費)
昭和四一年分の必要経費については、売上原価を除き別表(二)記載のとおりであること、および右売上原価のうち仕入にかかる東和木材株式会社(別表(二)の付表参照)に関する部分を除き当事者間に争いがない。
そして証人安井一夫により真正に成立したと認める乙第六号証の一、二、前顕乙第一一号証、証人坪川勉の証言によれば、右東和木材分仕入金額の明細が別表(六)記載のとおりであり、その合計額が三三七、一二〇円となることが認められるので、結局売上原価は一、〇九五、二二八円となり、従つて必要経費も二、四五〇、四六七円となる。
(差引営業所得金額)
右金額は、前記売上金額三、四九九、五八三円より必要経費二、四五〇、四六七円を控除した一、〇四九、一一六円となる。
従つて、本件処分にかかる昭和四一年分認定総所得金額五九九、七〇〇円は右金額の範囲内であることは明らかである。
六、昭和四〇年分営業所得金得について
被告は昭和四〇年分について推計によりこれを算出するところ、先ず被告が推計によつたことが許容されるべきことは前記三で認定したとおりである。
そこで次に右推計の当否について検討する。
1. 売上金額
被告は昭和四一年分売上金額(A)に、昭和四〇年分電力使用量(B)と昭和四一年分の電力使用量(C)の割合を乗じ、原告の昭和四〇年分の売上金額(D)を算出する(A×B/C=D)。
ところで、原告の経営する木工業という業種においては、格別の事情のない限り、業務用の電力使用量がその事業規模を示すものであると考えられ、その営業収入金額と電力使用量との間に高度の相関関係が存するものといえるから、電力使用量を基として売上金額を推計したことにはその基礎となる右(A)(B)(C)の数額が正確なものであるかぎり合理性があるものということができる。従つて右算式により昭和四〇年分の売上額を算出する方法は正当として是認できる。
そして証人杉浦信近の証言により真正に成立したと認める乙第九号証、同証人の証言によれば、原告の係争各年分の電力使用量は昭和四〇年分七七六キロワツト、同四一年分七六四キロワツトであること、右使用量はいずれも機械を動かす動力用のものであつて一般の電灯等によるものは含まれていないことが認められ、また昭和四一年分の売上金額は先に認定したとおり三、四九九、五八三円であるから、右算式に従い計算すると昭和四〇年分の売上金額(D)は三、五五四、五二六円となる。
(776÷764=1,0157 3,499,583×1.0157=3,554,526)
2. 算出所得率
先に認定したとおり、原告の昭和四一年分売上金額は三、四九九、五八三円、同年分売上原価は一、〇九五、二二八円であり、一般経費四六七、八八一円(別表(二)bないしc)については当事者間に争いがないので、同年分原告の営業所得率を算出すると、
<省略>
となるところ、昭和四一年分算出所得率をもつて昭和四〇年分の算出所得率とすることについては原告も格別争わない。
3. 算出所得金額
従つて原告の昭和四〇年分算出所得金額は一、九六六、七一九円となる。
(昭和40年売上金額3,554,526×55.33=1,966,719)
4. 特別経費
原告の昭和四〇年分雇人費、建物減価償却費、地代家賃については昭和四一年分合計七三一、四六〇円と同一額であるとすることについて原告は格別争わず、成立に争いのない乙第七号証、第八号証の一、証人安井一夫の証言により真正に成立したと認める乙第八号証の二、同証人の証言によれば、原告は昭和四〇年中において国民金融公庫へ七、九六五円、豊橋信用金庫東支店へ四、六〇五円、合計一二、五七〇円支払つていることを認めることができるので昭和四〇年分の特別経費は右合計七四四、〇三〇円となる。
5. 従つて差引営業所得金額は、3.「算出所得金額」より4.「特別経費」を控除した一、二二二、六八九円となるところ、本件処分による昭和四〇年分認定総所得金額(五五三、三〇〇円)が右金額の範囲内であることは明らかである。
六、以上の次第であるから、本件処分にかかる係争各年分所得金額はともに前記認定額の範囲内でなされたことは明らかであり、また、原告のなした各年分の申告額がいずれも過少申告に該当することは明らかであるから、被告において国税通則法二四条・六五条一項により本件処分をなしたことはいずれも適法というべきである。
よつて、原告の本訴請求はいずれも理由がないので失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山田義光 裁判官 窪田季夫 裁判官 小熊桂)
別表(一)
課税処分表
<省略>
別表(二)
営業所得計算表 (昭和四一年分)
<省略>
別表(二)の付表
売上原価明細表
<省略>
別表(三)
営業所得計算表 (昭和四〇年分)
<省略>
別表(四)
売上金額加算額明細表
<省略>
別表(五)
売上金額入金状況表
<省略>
(注) 売上洩れ判明額欄末尾の伸和椅子に対する売掛金 期首一月一日現在△四、〇〇〇円の△印の意味は期首期末の売掛金を調整することにより発生主義の額と一致させるためのもの。
別表(六)
東和木材株式会社分仕入額明細表
<省略>
<省略>
(注) 現金仕入額欄の金額小計一一、〇〇〇円は、原告の「簡易帳簿」の現金仕入の欄に記載された額である。
別表(七)
原告主張の徳田家具店に対する売上洩れの金額
(別表(五)売上入金状況表に対応)
<省略>
<省略>
別表(八)
被告主張の売上洩れ判明額と売上洩れ推定額との重複する額
(別表(五)売上金額入金状況表に対応)
<省略>